JAPANミリテールフォーラム

ミリタリーモデリングディスカッションフォーラム (AFV, AIR, 艦船, フィギュア, ファンタジー, スケールモデル, ジオラマ&ヴィネット)

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  • #1 2014-10-04 21:00:45

    Kazufumi
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    【ユーロミリテールの歩き方】by Norio Takemura

    Facebookで公開されている竹村氏のユーロミリテール2014体験記を、ご紹介します。(ご本人及び前川さんに転載を快諾して頂きました。この場を借りて御礼申し上げます)楽しい文章で非常に詳細に記されている素晴らしい長編大作体験記です。多くの日本人モデラーの皆さんに大いに刺激&参考になると思います。

    ---

    【ユーロミリテールの歩き方 (1)--- 付録/ボービントンの歩き方】

    1)ユーロミリテールへ行って来ました
    ミリタリー模型モデラーなら誰もが一度は耳にしたことがある英国の模型コンテストEuromilitaire(毎年9月中旬に開催)に初めて行って来ました。自分自身の覚え書として、また今後参加しようと考えておられるモデラーの皆さんになるべく役に立つ情報メモとしてまとめておきたいと思います。私の印象を一言でいうなら「見ると聞くとでは大違い」ということでしょうか。

    ※なお、写真は王徳方さん、環さんのアルバムからも拝借しています。

    2)日本、台湾合同チーム
    今回参加したのは、私と大阪の模型仲間の前川夫妻(奥様の名前は環さん、旦那さんは”班長”というコールネームで呼んでいます)、それに私の30年来の友人である台湾迷彩会の王徳方さん(DIOPARKのボス)と張中復さん(大学の先生)が現地集合で加わり、期せずして日・台合同チームとなりました。参加を決めたきっかけはそれぞれですが、王さんの言を借りると、「今回の旅は、友情とタイミングと情熱が一致したからこそ実現した」のだそうです。私もそれに全く異論はありません。
    mini_euro2014-001.jpg

    3) もう少しで大惨事?
    ユーロ(海外モデラーもこう縮めて呼んでいます)に参加するとは言え、段取りは普通の海外旅行と全く変わりません。そのあたりは旅行ガイドブックをお読み頂くとして、今回の旅行手配に関する私の失敗談を自戒を込めて書き留めておきたいと思います。

    今回、旅行の手配をした先は世界最大の旅行予約サイト”エクスペディア”です。高級ホテルからバックパッカーむけの安宿までネットで瞬時に確保出来るという優れたサイトで、宿泊拠点のロンドンと、そこから急行で約1時間離れたコンテストのあるフォークストンという、ドーバーに面する港町の中級ホテルは間単に手配が済みました。

    特にフォークストンのホテルは会期中は混みあうと聞いていたので5月末には予約を済ませました。確保した"Southcliffホテル"はユーロの会場から徒歩3分という大変便利なロケーションで選んだのですが、行ってみたらフィンランド、スウェーデンはじめユーロの常連モデラーの定宿であることが分かり、後述しますがおかげで大変楽しいアフターファイブの経験をすることになったのです。

    しかし好事魔多しとはこのことで、航空券もついでにと、このサイトですいすいとアシアナ航空を予約したのですが、虫の知らせか出発一月前になって予約完了メールを再確認したところ、班長の名前(英文字)の綴りが1文字間違っていることが判明しました。エクスペディア側の転記ミスでしたが、私が十分確認しなかったことにも責任があります。それが分かった時は青くなりました。

    というのは海外航空券の場合、発券後は一文字でも名前が違っていた場合、キャンセル料を払って買い直すしかまず方法がないこと、さらに悪いことに事が起こったときのエクスペディアの唯一の相談窓口であるコールセンターは最悪という評判で、電話が繋がること自体が奇跡と言われていることを知っていたからです。消費者庁にも多くの苦情相談が寄せられているとか。

    案の定、エクスペディアのコールセンターは何度かけても「お待ちください」とテープ音声が繰り返すばかりで、20分待っても30分待っても全くつながりません。さらにこの電話はフリーダイヤルではないのです。仕方が無いのでアシアナの大阪支店に電話をして助けてもらおうとしましたが、当然のことながらそれは旅行代理店の範疇なので気の毒だがどうしようもないとの返事。ここでも買い直すほか方法はないと言われました。

    4)危機一髪でセーフ
    こうなれば残された方法はたったひとつ。繋がるまで電話をかけ続けるしかありません。意を決して再チャレンジをしたところなんと今度は一発で繋がりました。もう先方のミスをぐだぐだ問うたところで無駄と分かっていましたし、途中で切れてしまったら万事休すです。

    ラッキーにも、航空会社によっては半額近いキャンセル料をとるところもある中、アシアナはひとり3千円で済むとコールセンターのお姉さんが教えてくれたので、思い切って全員分をキャンセルしました(私がコールセンターのお姉さんに丁寧に対応したせいか、後日エクスペディアから詳細なアンケート依頼が届いたのは皮肉な話です)

    mini_euro2014-002.jpg

    そしてその足で近くのHISへ行って予約し直しました。これならトラブルがあっても最低限の話はフェイス・ツー・フェイスで通じるはずです。キャセイ航空の大阪~ロンドン往復(香港経由)エコノミーで、約13万5千円というリーズナブルな価格でした。ひと月前に気がついたからよかったものの、気づかないままでいたら、班長のチケットは出発当日チェックインカウンターではねられ、危うく紙くずとなるところでした。

    高額な正規料金を払うとしても満席ならその便には乗れません。ちなみにカウンターの係員に聞いたら、その手のトラブルは結構あるとのことで、ほとんどの場合お客さんは肩を落としてスーツケースを引きずりながら帰って行くそうです。危機一髪でした。

    今回得た教訓から、価格や口コミの情報はエクスペディア、booking.comなどの国際旅行サイトで集め当りをつけたあと、HISや楽天トラベルなどの少なくとも最低限のサービスが日本語で受けられるところでの予約をお勧めします。ちなみにロンドンは空港急行が発着するパデイントン駅徒歩5分のMina House Hotel (ツイン・ダブルが基本で一泊 1万3千円~1万5千円)という中級ホテル、田舎町のフォークストンのSouthcliffホテルの相場はその半額くらいです。
    mini_euro2014-003.jpg

    中級ホテルですが、痒いところに手が届くような日本のビジネスホテルを想像してはいけません。風情はあるものの、シャワーの出は悪いし、タオルも少しくすんでいるし、エレベーターは古めかしいしで、ナーバスな方は少し覚悟がいります。そうそう歯ブラシセットは持参してください。

    シングルもあるようですが、両方とも私が予約した段階では満室でした。私はツインのシングルユースでしたからだいぶ割高になりました。ホテルの予約はエクスペディアでしたがスムーズに泊まれました。変更や間違いが起こらない限り、エクスペディアは便利だと言えるでしょう。

    5)ヒースロー空港はちょっと緊張します
    昨今のテロの関係もあって、ヒースローは世界でも入国審査の厳しい空港だと聞いています。実際に環さんは行き帰りとも履いていた軍用ブーツを脱がされて、裸足で税関をウロウロする羽目になりました(関空でも乗り継ぎの香港でも環さんだけ素足にさせられました) 環さんがブーツを接収され裸足で税関のフロアを歩く姿があまりに気の毒なので、係員に「スリッパはないのか?」と聞いたら、「そんなものはない!」とはねつけられました。哀れな環さんの写真を撮り損ねたのが残念です、って面白がってるやん。

    私も帰途にヒースローで生まれて初めて細かい荷物検査を受けました。バッグに入れていたキンドルと歯磨きチューブがひかかったのです。でも私の場合は、信頼性の高い日本のパスポートが役に立ったようですぐに解放されましたが、隣の検査台の乳飲み子を抱えた中東アジア系の女性は鞄のすみずみまでしつこく調べられて憮然とした表情でした。

    次回は、”ジオラマ作品の持込に緊張が走った税関職員”というテーマからスタートします。今日は時差ぼけで猛烈に眠いのでここまで。(Part2へ続く)


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    #2 2014-10-04 21:04:27

    Kazufumi
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    Re: 【ユーロミリテールの歩き方】by Norio Takemura

    【ユーロミリテールの歩き方 (2)--- 付録/ボービントンの歩き方】

    1)どうやって運ぶ?遠くからユーロを目指すモデラーにとって、安全に運ぶことは重要な課題です。AFVモデラーの皆さんに関係のあるカテゴリーは、おそらく、戦車単品部門、戦車ビネット部門、戦車ディオラマ部門の三つくらいだと思います。(実はユーロには、30以上のカテゴリーがありますが詳しくはここでご覧ください)

    http://www.euromilitaire.co.uk/editoria … asp?p=633)

    ちなみに初参加で銅メダルという快挙を成し遂げた環さんのディオラマは、カテゴリー31のFantasy Vehicle部門です。

    単品はともかく、ビネット(最大25cmX25cm 高さは指定なし)、ディオラマ(最大61cmX61cm 高さは指定なし)を運ぶのは結構気を遣います。特に問題になるのは機内持ち込みです。最近は航空各社とも機内持ち込み荷物のサイズ厳守を乗客に求めており、大き目の荷物は搭乗口ではねられるおそれがないとは言えません。その時は中身を見せて「こわれもの」ということを必死でアピールする他ありません。また運良く持ち込めたとしても、次の難関は座席上部の荷物棚に入るかとうかです。

    機種によっても違いますし、ネットで色々調べましたが荷物棚の具体的なサイズは出ていません。困って模型仲間のフランス人(彼は航空会社の現役パーサー)に尋ねたら、こんな写真を送ってくれました。

    mini_euro2014-004.jpgmini_euro2014-005.jpg


    航空会社によっては、機内でサービスクルーが、別のストックに預かってくれる場合もあるようですが、丁寧に扱ってくれるかどうかは保証の限りではありません。入らなかったらどうするか?とパーサーの彼に聞いたら、とにかく誠意を持って説明したら、なんとかしてくれるかもしれないという返事でした。

    帰途に乗ったキャセイは日本航空との共同運航便でしたから、乗務していた日本人パーサーが「大きな荷物を持ち込まれた方はお預かりします。ご遠慮なくお申し付けください」とアナウンスしていましたが、普通は規則を破った客が不利で、「預かれ」「預かれない、膝の上に載せてください」と、半分口論になっていた場面に出くわしたこともあります。とにかく各社がHPで出している機内持ち込みサイズ(3辺の和が約110cm)に収まるよう作品を作ればまずは安心です。


    2)固定にはブルタックが便利
    とにかく梱包は大事です。スペインのモデラーはブルタックという貼って剥がせる粘土みたいなもの(東急ハンズあたりで売ってます http://www.blutack.jp/)を箱と台座にペタペタ貼って済まし … う工夫していました。

    私のディオラマはスペイン方式で、紙箱の底面と台座を5ヶ所ほどペタペタ貼って行きましたが、行き帰りとも大丈夫でした。台湾迷彩会の王徳方さんは、いつもメジャーを持ち歩いていて、よさそうなサイズの箱を見つけるとすぐ購入するそうです。フォークストンでは、そのメジャーで、”当店お勧めジャンボ・フィッシュ&チップス”のサイズを測っていました。

    PART3へ続く


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    #3 2014-10-04 21:10:01

    Kazufumi
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    Re: 【ユーロミリテールの歩き方】by Norio Takemura

    【ユーロミリテールの歩き方 (3)--- 付録/ボービントンの歩き方】

    (・・・PART2から続く)

    前回は機内持ち込みの話を書きましたが、その前に税関の手荷物検査という試練が待ち受けています。大阪からロンドンまでは直行便がないので、今回は香港で乗り継ぎました。つまり、関空、香港、ヒースローの三箇所で作品を無事通過させなければなりません。作品を持って飛行機に乗るのはこれが初めてだったので、サイズの問題以外にも色々不安がありました。

    例えばディオラマに使っているオランダドライフラワーは大麻と間違われないか?金属砲身はひっかからないか?地面は本物の土じゃなくて紙粘土であることをうまく説明できるか、とか。半分笑い話みたいですが、何事も初めてというのは緊張するものです。でも、大麻はともかく土のついた植物は検疫でひっかかりますし、手直し用のカッターナイフとか塗料瓶をうっかり機内に持ち込もうとしたら、間違いなくひと悶着起こるはずです。

    すべては杞憂に終わったのですが、ただし我々の誰も今回は金属砲身は使っていなかったので、実際スムーズに通過できるかどうかは不明です。X線検査では、しっかりと金属の銃身が映るはずですから最悪の場合、ユーロに砲身なしの戦車を展示する羽目にもなりかねません。
    mini_euro2014-006.jpg

    私の場合、必ず係員は「箱の中身はなんですか?見ていいですか?」と聞いてきました。ふたを開けて「プラスチックモデルです。コンテストに参加します」というと、だいたいが男性の係員なので、ちょっと微笑んですぐ通してくれます。特に香港の若いお兄さんは、小さく親指を立てて”イイネ!”をしてくれましたし、帰国時の日本の税関職員は見るなり「あ、ジオラマですね」「英国のコンテストに出ました。私は落選でしたが、こちらの女性(後ろに並んでいた環さん)は銅メダルでした」というと、にやっと笑ってすぐ通してくれました。

    もうひとつ失敗談を。ヒースローの入国審査は厳しいと前にも書きましたが、私のパスポートチェックは中年のちょっと手ごわそうに見える女性係員でした。少々緊張していた私は「入国の目的はなんですか?」という質問に、下手な英語で「いえ、実はこの週末、フォークストンというドーバー海峡の近くの町で模型のコンテストがあって~」としどろもどろになってしまいました。彼女は、ため息をついて私をさえぎると、はっきりした英語でゆっくりともう一度尋ねました。「What's the purpose of your visit?」 そこではたと気がつきました。「Sightseeing・・・」 で、ハンコをポン。過ぎたるは及ばざるがごとしです。


    PART4へ続く


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    #4 2014-10-04 21:14:46

    Kazufumi
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    Re: 【ユーロミリテールの歩き方】by Norio Takemura

    【ユーロミリテールの歩き方 (4)--- 付録/ボービントンの歩き方】

    mini_euro2014-007.jpg

    1)いざ、ロンドン市内へ!
    テロ厳戒態勢のヒースローの入国審査を無事クリアして、我ら日本チーム一行は意気揚々とロンドン市街へ向けて”ヒースロー・エクスプレス”という空港急行に乗り込みました。若干高めの運賃ですが、我々の泊まるホテルのすぐそばにある終点のパディントン駅までわずか15分で直行します。チケットも事前にネットで購入していたので、Eメールの控えを車内検札時に見せるだけでOKのはずです。

    香港出発時に、機内で映画や音楽を提供するエンタテイメントシステムに不備があったためヒースローへは1時間遅れての到着で、もう夜の10時を過ぎていましたが、これなら順調にホテルへチェックイン出来そうです。一日早く先乗りした台湾チームからも、ホテルで待っているとのメッセージがフェイスブックに入っていました。

    mini_euro2014-008.jpg

    ところがこの急行なかなか出発しない上、車内は不思議に空いています。ホームを見ると多くの旅行客が残っています。空港急行専用のホームでこれは何かおかしいと気づいた私は、そばのビジネスマンに尋ねました。「えーと、定かではないけれども、私が思うにはパディントン駅へは行かないと思いますね。はっきりしなくてすみません」 英国紳士らしい奥ゆかしい返事でしたが、こうい場合、一言で”NO!"とはっきり言ってもらうほうが助かるのですが。


    あとで分かったのですが、それは我々が着いたターミナル3から市内に出る電車じゃなくて、隣のターミナル4の乗客を迎えに行く電車でした。あわてて荷物を抱えて電車から降りました。さすがジェームス・ボンドの国、危機一髪が続きます。で、次の電車で15分。ホームに着くと台湾迷彩会の王徳方さん、張中復さんが待っていてくれ、久しぶりの再会を喜び合いました。ちなみにこは名前が示す通り、パディントンベアゆかりの駅です。ショッピングフロアに銅像がありました。

    mini_euro2014-009.jpg
    2)パブを求めて街をさまよう
    台湾チームに駅近くのホテルに案内してもらった後、パブ初体験を楽しみに夜の街に繰り出しました。ところが11時を過ぎていたためかどこももう店じまいで、仕方なくまだ開いていたイタリア料理店で、ごく普通のピザとビールで晩御飯ということになりました。残念ながら本場のパブは明日以降に持ち越しです。実はパブを探してウロウロしている最中にこの店の客引きに声をかけられましたが、パブへ行くんだと言って断りました。戻って来た我々を見て彼曰く「待ってたよ。パブはもうどこもおしまいだから戻ってくるのは分かってたからね」

    パブの話を少し書いておくと、パディントン駅近辺のパブは11時で閉まるようです。別の日にやはり閉店間際に行ったパブでは、10時半頃=「一杯だけならOKです」 10時40分頃=「外で飲むのは止めて中で飲んでください」 10時50分頃=「あと10分です」 10時55分=(入り口を施錠)「あと5分です」 10時57分=「あと3分です」 11時=「閉店です!さあ、皆さん裏口から出て!」 というような具合でした。

    mini_euro2014-010.jpg

    これは英国人が営業時間にきっちりしているとか、当局の目が恐いとかじゃなくて、私の推測では従業員が時間かっきりに帰りたいからだと思います。というのは別の日に晩御飯を食べたステーキレストランでは、私たちのテーブルを担当してくれたウエイター君が閉店間際に私からチップをもぎ取るやいなや、我々を残してジャンパーを羽織ってさっさと帰っていきましたから。

    このウエイター君、店ではちょっと慇懃無礼な感じでしたが、後日通りでばったり会ったので「やあ覚えてるいるかい?」と声をかけると、「あ?ええ、また来てくださいね」とちょっとはにかみながら返事をくれました。それがちょっと可愛いかったので過日の無礼は許してやりました。

    PART5に続く


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    #5 2014-10-04 21:19:35

    Kazufumi
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    Re: 【ユーロミリテールの歩き方】by Norio Takemura

    【ユーロミリテールの歩き方 (5)--- 付録/ボービントンの歩き方】
    mini_euro2014-011.jpg

    1)観光、そしてまたパブ  台湾チームは水曜日に、日本チームは木曜日の夜にロンドンへ着いたので、翌金曜日は市内観光をしてから夕方にフォークストンへ向かうことにしました。ユーロミリテールの作品受付は土曜日の10時から3時まで。我々は一日余裕を持ってロンドンに到着しましたが、万が一飛行機が遅れたとしても土曜日の3時までに滑り込めば大丈夫です。英国の鉄道は日本並みに整備されていますからある程度時間が読めますし、ロンドンからフォークストンまでは30分おきに急行が出ていて、所要時間約1時間です。

    市内観光用に、まずは駅の自動販売機で英国版Suica/Ikocaカードであるオイスターカードを買いました。これ一枚あれば地下鉄も二階建てバスもスイスイです。この辺の交通事情はガイドブックでお調べください。日本並みと言いましたが、実は土・日は運休が多いとか突然路線一本まるまる休むとか、思いもかけないことが起こるのもまたロンドン・スタンダード。後述しますが、ボービントンの戦車博物館へ向かう途中も、下手すると乗り越して終点まで行ってしまうところでした。

    mini_euro2014-012.jpg

    我々が行った場所は、まさに定番中の定番、トラファルガー広場でネルソン提督のモニュメントとライオンの像を見て、バッキンガム宮殿の衛兵交代を見学。徒歩でセントジェームスパークに入り、リスや白鳥と戯れたあと、ウエストミンスター寺院とビッグベンへ。そこから地下鉄で観光客向けの人気マーケット”コベントガーデン”へ向かいました。

    mini_euro2014-013.jpg

    コベントガーデンへは途中で一回乗り換えなんですが、案内標識に沿って進んだ先は改札口で乗換駅への通路が見当たりません。改札口の掲示板をよく見ると、「工事のため駅は閉鎖中、改札を出て別の駅へ歩け」と小さく書いています。それなら案内標識もはずしておけよなあ、とぶーたれてもあとの祭り。トイレにも行きたかったので取りあえず改札を出てその振替えの駅を探すことにしました。ロンドンの地下鉄の駅にはあまりトイレがないのです。マクドやケンタッキーなどのファーストフード店を探して拝借しなければなりません。

    2)パブ横丁で沈没   ところが、模型の神様はなんとも粋なことをしてくれます。改札を出てすぐ偶然行き当たった細い路地は、いくつものパブやカフェが並ぶ言わば「パブ横丁」だったのです。そこで私たちはビールとタバコ片手に地元民になりきって2時間近くまったり過ごしたのでした。私の今回の旅の目的のひとつは、本場のパブでビールを飲むということでしたから、もう大満足です。

    mini_euro2014-014.jpg

    パブの作法は簡単です。軽くハローと声をかけて店に入り、カウンターでキャッシュで注文すればいいだけです。それと、環さんの情報で、グループの場合は注文のたびに誰か一人が順繰りに全員の勘定をまとめて払うのが暗黙のルールと知りました。「お、さっきお前が払ったよな」「じゃ今度は俺が払うよ、みんな何にする?」という繰り返しでしょうか。これのほうがスマートですし、きっちり割らないと落ち着かない日本人は店を出たあと割り勘にすればいいわけですから。でも、英国人もちゃんとしたレストランではそれこそきっちり割り勘にするらしいです。まあ、軽く一杯とディナー一人前の勘定では当然ですかね。

    こちらの人はパブでも駅のプラットフォームでも明確な列を作りません。お互いの順番を阿吽の呼吸で確認しながら注文したり、電車に乗り込んだりしているようです。本来慎み深い日本人には何の問題もありません。「お先にどうぞ」「いえいえあなたからどうぞ」といつものやつをやればいいだけですから。次回はいよいよフォークストンへ向かいます。

    PART6に続く


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    #6 2014-10-04 21:24:17

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    Re: 【ユーロミリテールの歩き方】by Norio Takemura

    【ユーロミリテールの歩き方 (6)--- 付録/ボービントンの歩き方】

    mini_euro2014-015.jpg

    1)狐の嫁入り
    コベントガーデンの駅を出た途端、晴れているのに大粒の雨が降る、いわゆる狐の嫁入りに遭遇しました。しばらくトルコ料理を出すカフェの軒下で雨宿り。私はキッチンのいい匂いにつられて肉団子を注文。結局、みんなでお店に入ってお茶しながら雨の止むのを待ちました。何気ない時間ですが、これもまたどこか英国らしくて?旅の想い出はこんなところにもあるものだなあと思います。

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    5時前にホテルに戻った我々は大きな荷物はそのままホテルに預けて(日曜日と月曜日もこのホテルを予約してあるので快く預かってくれました)、地下鉄でセント・パンクラス駅へと向かいました。英仏海峡を渡ってフランス・ベルギーへ行く国際特急、ユーロスターの発着駅でもあります。

    途中、また地下鉄でもたもたして「ロンドンの地下鉄はようわからん」とぶーたれていたら、日本語の分かるカップルに「これで大丈夫ですよ」と声をかけられました。聞いてみると大地震の時福島で英語を教えていたそうです。意外と日本語の分かる人はいるものですからくれぐれも言動にはご注意を。でないと私のように顔を赤らめる羽目になります。

    2)フォークストンまでの切符を買う
    セント・パンクラス駅は本当に大きな駅です。まずは切符を買わなければなりませんが、日本語表記のない自動販売機は敬遠して、窓口で買うことにしました。買い方は日本と全く同じで、列に並んで順番が来たら空いている窓口に行きます。実は、英国の鉄道運賃は色々お得な買い方があって、往復切符、ピーク時をさけた切符、事前ネット予約などは大幅なディスカウントがあります。

    mini_euro2014-017.jpg

    私たちも当然、往復切符を買うことにしました。まず行き先(Folkestone Centralです。Folkestone Eastという一つ前の駅もあるので注意)を伝えて、人数と往復切符(Round ticket -- 当日中有効往復券というのもありますから、明後日戻ることも伝えます)をくださいと言えばOK。以上を紙に書いて渡せば確実です。一見同じように見えるチケットを行きと帰りの2枚をくれますから、行き先表示をよく確認して間違わないように。

    往復チケットを買ったほうがよい理由はもうひとつあります。実は、降車駅のFolkestone Centralは無人駅らしいのです。昼間はどうか分かりませんが、僕らが乗り降りした夜の8、9時頃は駅員の姿を見ませんでした(HPを見たら窓口の営業時間は平日は19時まで、日曜日は17時40分までとなっていました)じゃあ、乗ってから車内で車掌から買えばいいじゃないかということなんですが、切符を持たないで乗ると事情はどうあれ無賃乗車と見做され数千円の罰金を取られると聞きました。ただし、私が出会った駅の窓口や車掌さんは、みんな親切でしたから何とかなるかもしれませんが。

    英国の鉄道は、発車20分前くらいまで発車ホームの番号が分かりません。乗客はみんな空港にあるような大きな電光掲示板の前に固まって、いまかいまかと自分のホームが表示されるのを待っています。電車は一見JRの快速電車みたいで、全席自由席でどの時間の列車に乗ってもOK。フォークストンまで一時間ちょっと、半時間に一本くらいの本数で、我々の乗った電車は半分くらい席が埋まっていました。車内は小奇麗で行き先もアナウンスと電光表示がきちんとありますからなんの心配もありません。

    3)フォークストンのタクシー
    聖地、Folkestone Central駅は、あっけないほど静かというか寂しいというか、薄暗い小さな駅でした。駅を出ると目の前はお店ひとつなく、あたりはもう真っ暗です。一緒に着いた地元民らしき女性にタクシー乗り場を聞くと、右手の一角を指差しそこで待てとのこと。そこにはタクシー乗り場の表示はどこにもなく、地面に停車位置を示すような印があるだけです。

    mini_euro2014-018.jpg

    我々以外はもう周りに誰もいません。しばらく待ってもタクシーの姿はなく、タクシー会社の電話番号を探しに駅の構内へ戻ろうとした時、ようやくタクシーが一台やって来ました。タクシー2台に分乗して約5分、目の前にホテルが見えてきました。車を降りて料金を助手席の窓からドライバーに渡します。"Thank you very much,sir!"と上機嫌の返事をくれたところをみると、どうやらチップをはずみ過ぎたようです。今回、これよくやりました。チップの計算は最後まで慣れませんでした。

    海辺にあるちょっとお洒落なたたずまいのSouthcliff Hotel の入口にはテラス席があって、何人かのモデラーらしき人々がビールを飲みながら談笑していました。玄関に乗り付けた我々に、みんなが興味深そうな視線を投げてきました。ちょっと緊張が走ります。

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    PART7へ続く


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    #7 2014-10-04 21:28:19

    Kazufumi
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    Re: 【ユーロミリテールの歩き方】by Norio Takemura

    【ユーロミリテールの歩き方 (7)--- 付録/ボービントンの歩き方】

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    ヨーロッパモデラーたちの好奇心満々の視線を浴びながら、我々はホテルにチェックイン。一人も二人も同じ値段(一部屋当り約8千円)のリーズナブルなホテルながら、ロンドンのホテルより広くて快適です。一階には広いバーがあってすでに宿泊客(全員がモデラー)で賑わっていました。だいぶ出来上がっている人もちらほらいます。

    我々は旅装を解くとすぐ、晩御飯を食べに行くため一階に集まりました。朝御飯はイングリッシュブレックファーストをしっかり食べたものの、昼は例のパブ横丁でスナックくらいしか食べていなかったので少々お腹が空いていました。ところが結局この夜は晩御飯を抜く羽目になりました。

    まずロビーでアジア人の二人から声をかけられました。どこかで見た顔だなと思っていると、一人が「キム・マンジンです」と自己紹介します。なんと、私は彼の本を持っていることを思い出しました。ユーロで連続5回金賞受賞のフィギュア・モデラーです。もう一人の若いキム君は日本語堪能の原型師で、現在キム・マンジンさんとペアで仕事をしているそうです。すれ違う欧州モデラーが次々キム・マンジンさんに挨拶をして行きます。早くも私はユーロに来たことを実感しました。

    mini_euro2014-021.jpg

    で食事に行こうと玄関に出たのですが、どういう会話があってそうなったのかは実は全然覚えていないのですが、気がつくと我々は玄関脇のテラスで飲んでいる”ガイジンモデラー”の輪の中に完全に取り込まれてしまっていたのです。

    出発前私たちは「ユーロでも静岡と同じように色んなモデラーと知り合うことが出来るといいね」という話をしていました。それがユーロの大きな楽しみであることは、我々も分かっていたのですが、私は、果たしてどうやって声をかけたらいいものかとか、向こうは受け入れてくれるだろうかとか実は少々心配でした。案ずるより生むが易し、このあと深夜まで飲み語り合うことになるのです。

    全部で20人以上はいたでしょうか。どうやら近隣のホテルからもこのテラスに集まって来ているようです。主にスウェーデンとフィンランドから来たモデラーたちで、我々に興味津々の様子です。王さんが自分の会社”DIOPARK”の名刺を渡した途端に連中の目の色が変わりましたし、我々日本チームもタミヤの国から来たということで、大変興味を持たれているのが手に取るように分かりました。「日本から!すごい!いつかは行きたいと思ってる夢の国だ!」というセリフをこの夜何回聞いたことでしょう。

    <夜のテラスの様子はこれ(撮影:環さん)>
    https://www.facebook.com/video.php?v=50 … =2&theater

    一通り自己紹介のようなものが済むと、みんなの興味はその場の唯一の女性、環さんに移りました。私がすでに、彼女も隣にいるご主人も(この時、環さんを独身と思い込んでいたらしい連中からちょっと失望のため息が漏れたのを私は聞き逃しませんでした)大阪のモデラーで、環さんは今回ディオラマを出品すると紹介していましたし、中にはフェイスブックで彼女の作品を知っている人もいたようです。環さんも持ち前の優れたコミュニケーション能力をフルに発揮して、ニコニコ何やら楽しげにやりとりしています。

    でも、フィンランド人は欧州ではシャイではにかみ屋と言われていると聞いたことがありますが、実際、皆さん大変紳士的で(だいぶ出来上がってはいましたが)、なかには環さんの目を見て話すことが出来ない純情な?人いもました。これがスペイン人とかイタリア人なら肩を抱かんばかりにして喋り捲るんだろうな、と思って私はひとりにやけてしまいました。

    次から次へ私たちと話そうとやってくるモデラーたちのおかげで、すっかり私たちは晩御飯のことなど忘れてしまいました。フォークストンを去る日、あるモデラーが名残惜しそうに「君らの登場は今年のハイライトだった」と言ってくれましたが、この最初の夜にすでに私たちは何かしらの手ごたえを感じていました。

    PART8へ続く


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    #8 2014-10-04 21:34:06

    Kazufumi
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    Re: 【ユーロミリテールの歩き方】by Norio Takemura

    【ユーロミリテールの歩き方 (8)--- 付録/ボービントンの歩き方】

    mini_euro2014-022.jpg

    1)いざ出陣
    いよいよユーロミリテールの開幕です。ホテルのレストランでたっぷりとしたフルイングリッシュ・ブレックファーストをいただいた我々は、おのおの作品を抱えて徒歩3分の会場へ向かいます。班長は、夫婦で参加している模型教室の先生である吉岡和哉さんの作品を大事そうに抱えています。

    mini_euro2014-023.jpg

    このちょっと変わった形の会場は、一階はカフェがあるだけで展示室は地下(たぶん地下は3層)にあります。名前のLeas Cliff Hallが示すとおりドーバー海峡の岩壁を下方になめるように作られていて、展示室の一部は岩壁側から外光が入るように設計されています。でもかなり暗い感じがします。

    会場入口にいるシルバー人材センターのボランティアのような愛想のいいおじさんとおばさんからチケットを買います。この二人は二日間ずっと入口を守っていました。一日券は10ポンド(約1700円)、二日通し券は14ポンド(約2400円)です。我々は二日券を買い、作品を展示するために階段を地下へ下りて行きます。

    mini_euro2014-024.jpg

    最初に目に入ったのは、大広間に所狭しとならんだディーラーの出店。ここは後でゆっくり見るとして、まずは作品受付を探しますがどこかよく分かりません。まごまごしていたら、一人の男性がこっちだよ、と案内してくれました。くねくねとした通路を辿って地下3階くらいまで降りたような気がします。

    2)出品の手続きをする
    展示室の入口にいる受付けのおじさんに、1点当り2ポンド(約340円)の参加料を払って引き換えに2枚一組になった出品カードをもらいます。一枚は受付に渡して、一枚は作品の前に置くようになっています。一旦展示室を出て、そすぐばのカフェのテーブルで名前・作品名と出品するクラスを記入します。

    mini_euro2014-025.jpg

    班長が預かって来た吉岡さんの作品は委任状が必要なので、事前に日本で吉岡さんのサインをもらった書類を受付に提出しました。委任状のフォーマットはユーロの公式HPにありますから、他人の作品を預かって持参する人は絶対に忘れないように。製作者本人のサインがないと受付けてもらえません。

    記入が済んだら、それぞれのカテゴリーの展示台へ自分で置きます。もし出品のクラスを誤認して置いてしまっても、審査前に審査員が正しいカテゴリーへ移動してくれるようです。梱包は、入口近くにある音響調整室みたいな場所で預かってもらえます。私たちは10時過ぎに行きましたが、3時の締め切りにも関わらずすでに多くの作品が並んでいました。特にユーロの華、フィギュアがずらりと並んだ展示コーナーは壮観です。

    意外なことに、展示室は思ったほど広くなく、各地で行われるAFVの会くらいでしょうか。一方の壁面から外光が入るようになっていましたが、やはり全体的に暗い感じがします。隣の小さめの部屋ではクラブ展示や製作実演が行われているようです。

    3)審査員に遭遇
    実は、展示に当たって心配なことがひとつありました。環さんの作品の木製ベースは、機内持ち込みサイズの関係で外れるようになっているのです。その旨、英語で書いた注意書きをつけていましたが、やはり心配なので近くにいたスタッフらしきおじさんに声をかけました。偶然にもその方は審査員の一人だったようで「うむ、ちょっと困ったね。レギュレーションに違反していないか、エライさんに確認するから待っててね」と奥へ入って行きました。

    mini_euro2014-026.jpg

    すぐに、もう一人のさらに年配のおじさんを連れてきて作品の前でひとしきり話し込んでいましたが、微笑みながら、「OKだよ。このスーパーバイザーの大先生が大丈夫だと言ってる。よかったね!ところでこれは誰の作品なんだい?」「こちらのレディです」と私が言うと、「うん?あー、貴女が作ったのかい?」と審査員のおじさんはちょっと驚いたようにも、戸惑ったようにも見えました。私はこの時ちょっとピンと来るものがありました。

    私たちは丁寧にお礼を言って展示を続けました。私も「ミリタリー・ジオラマ」のコーナーに作品を置きましたが、周りを見渡してもうすごい「場違い」感を感じました。下手とか上手とかじゃなくて、何と言うか部屋に充満するある種の空気から自分の作品だけが完全に浮いてる感じがしたのです。このあたりの話は、今回のキモでもありますから、また後ほど書きたいと思います。

    PART9へ続く


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    #9 2014-10-04 21:39:25

    Kazufumi
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    Re: 【ユーロミリテールの歩き方】by Norio Takemura

    【ユーロミリテールの歩き方 (9)--- 付録/ボービントンの歩き方】

    mini_euro2014-027.jpg

    1)あっという間に一日は過ぎる
    作品を無事展示することが出来てひと安心。ここまで長い道程でした。あとは展示会場に所狭しと並んだ作品をじっくり見て、一階上のディーラーの物販フロアをウロウロします。疲れたら会場外のカフェ・スペースで、ドーバーの海風に吹かれてゆっくりお茶を飲む。この繰り返しですが、あっという間に時間は過ぎて行きます。

    mini_euro2014-028.jpg

    そしてユーロの熱気にあてられたのか私はまだ少し興奮状態だったようで、物販フロアで色々と想定以上の買い物をしてしまいました。物販フロアは半分以上がフィギュア関連の売り場で、綺麗にニスが塗られた台座やネームプレートの特注ショップなどもあって、観ているだけでも楽しめます。オーナー自身が店番をしているところもいくつかあって、日本人は珍しいのでしょう、いろいろ話しかけてくれました。

    ミリタリー関係の有名どころではBlack Dog、Reality in Scaleやアズムット等が店を出していて、円安の今、価格的にそうメリットはないものの雰囲気でつい買ってしまいます。Reality in Scaleのオーナーは、後日、私のタイムラインに「買ってくれてありがとう」とメッセージをくれました。なかなかの商売上手です。

    mini_euro2014-029.jpg

    でも、いわゆるインジェクションの大手メーカーの存在はどこにもありません。キットを売っているお店にタミヤや中国メーカーのキットは並んでいますが、ブースがあるわけでもなく広告で協賛している様子もありません。これは、エアフィックスやイタレリといった地元・欧州のメーカーも同様です。


    2)意外にユーロは質素
    今年で29回目らしいですが、ドーバー海峡を望む観光地とは言え、このひなびた小さな街でスタートした当初は同好の士の小さな集まりだったのでしょう。欧州の一大模型ベントになった今も、その質素な精神というかアマチュアリズムのこだわりのようなものは引き継がれているように思います。アマチュアリズムといいましたが、企画や審査の主体はモデラーですが、運営の枠組み自体は数年前からイベント会社が携わっていると聞きました。

    実はユーロもいろいろ課題を抱えているようです。審査にまつわるゴシップは、洋の東西を問わすどこのコンテストでもありますから省くとして、毎年参加者が増えているかと言えばそうでもないみたいで、広いとは決して言えない展示台もクラスによっては空きスペースが目立つところもありました。私たちはグループで参加しましたが、ぶらりと一人でやってきた観客を楽しませる仕掛けは十分とは言いがたいかも知れません。よい作品を観られる事が一番の楽しみと言えばそれはそうなんですが。

    mini_euro2014-030.jpg

    会場のすぐ外には広い敷地があるにも関わらず、コスプレとかミリタリー関係の展示があるわけでもなく、地元の軍人家族会のおばちゃんたちが来週開かれるコーラス会のちらしを配っているだけで、地味といえば地味なイベントです。じゃあ楽しくないかと言えば、これがなかなかに心地よいのです。なかでも私が一番気に入ったのは展示室のすぐ隣がバーだったということです。ビール片手に作品を観賞している人もいましたが、さすがにそれは危なくて私には出来ませんでした。


    キム・マンジンさんが、今年アジアから参加したのは我々5人と彼ら韓国の2人だけだと少し残念そうに話していましたが、我々は風体ですぐ見分けがつきますから、昨夜知り合った連中がすれ違うたび挨拶してくれます。私は来る前に、フェイスブックに自分の写真を「手配書」代わりにアップしておいたので、それを見た人が何人も話しかけてくれましたし、おみやげまで頂戴することもありました。

    実はキム・マンジンさんとパートナーは、物販フロアで自分たちのフィギュアを売る店を出しています。我々には真似が出来ませんが、これも彼がユーロで大きな存在感を持つ理由のひとつです。


    こうして一日目は終わり、そして、また例のテラスで深夜までパーティは続くことになるのです。

    (下の写真は、ロンドン~フォークストンの往復切符とユーロの2日間入場券です)
    mini_euro2014-031.jpg


    PART10へ続く

    P.S.書き忘れましたが、物販フロアはほとんどが現金決済オンリーです。でもポンドとユーロのどちらでもOK,ここでまた為替相場でどっちが得かちょっと悩みます。


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    #10 2014-10-04 21:43:42

    Kazufumi
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    Re: 【ユーロミリテールの歩き方】by Norio Takemura

    【ユーロミリテールの歩き方 (10)--- 付録/ボービントンの歩き方】

    mini_euro2014-032.jpg

    1)今夜こそ晩御飯を
    一日目は6時で終わりです。この日も満足に昼ごはんを食べられなかった我々は、ちょっと早めに一旦ホテルに戻って今度こそは晩御飯を食べに行きます。ホテルから歩いて5分ほどのところにお店がいくつか集まっている通りがあって、といってもレストランやパブらしきお店はほんの数軒ですが、事前にネットで調べたTEX-MEX料理を出すというThe Chambersというパブへ行くことにしました。

    お店に向かう途中、ちょっと面白い感覚に襲われました。「いいにおいがしてきた。そこの角を曲がると左手に青い看板のフィッシュ&チップス屋があって・・・、ほら、あった!そこをまた左に曲がると、角にカフェがあって隣がパブ、あった!」と、日本でチェックしたグーグル・ストリートの写真通りの展開に私は大満足です。

    mini_euro2014-033.jpg

    地下にあるそのパブはかなり大きな店でした。しかし我々が行ったのは6時頃でしたので、カウンターで地元の男性らしき人がひとりビールを飲んでいるだけでがらんとしています。カウンターの後ろにいた女性に食事は出来るかと聞くと、すごく早口の返事が返ってきました。どうやら食事が提供できる時間は7時から9時までだと言ってるようです。

    mini_euro2014-034.jpg

    仕方がないので飲みたくもないビールを頼み(ウソ)、ソファーにどっかと座り一日の疲れを癒していると、くだんの女性が近づいて来てまた何やらまくし立てますが、私は半分も聞き取れません。王さんに通訳してもらうと、どうやら今夜はスタンダップ・コメディアンなどのイベントがある日で、近隣から大勢集まるのですごく混む。よかったら5人分席を押さえておくので、一杯飲んだらちょっと町を散策してまた戻ってきたらどうか、楽しいよ、と勧めているようです。

    舌にピアス腕には派手なタトゥーで、一見近寄り難い風に見えましたが、なんの、気のいいお姉さんです。取りあえずお礼を言って店を出ました。内装も豪華ではありませんが手入れが行き届いていて、流行っているお店の匂いがしっかりしていました。

    2)やっぱりフィッシュ&チップスにビール

    mini_euro2014-035.jpg

    結局それまで待てず、我々は青い看板のフィッシュ&チップス屋 Papa’s Fish& Chipsで食事をすることにしました。入り口に小さなテーブルが二つあったのでそこでもいいや、とカウンターで注文をしようとしたら、お店のおばちゃんが奥に座れる場所があるから、と言います。横手に回ってみたら大きなレストランがありました。

    そこで美味しいビールとボリュームたっぷりの食事を堪能しました。お店は人気店のようですぐに満席になってしまい、我々より少しあとでやって来たスペインのモデラーのグループは席が取れずに残念そうに帰って行きました。

    単独行でパブもレストランもひとりでは自信がないという方は、朝はホテルのフル・イングリッシュブレックファーストでしっかり腹ごしらえをし、昼は会場1階のカフェでサンドイッチを食べて、夜はちょっと寂しいですが、その通りにあるスーパーで何か食べ物を買うという手があります。地図上ではもう数キロ東へ行くとケンタッキーとかバーガーキングがあるようですが確認はしていません。

    お腹一杯になって上機嫌の私たちは、帰り道、不動産屋のウィンドウに飾られた物件を見て、「お、2500万か。一軒買っとくか」などと軽口を叩きながらホテルへ戻ります。班長はいたくフォークストンが気にいいったみたいで、ここに住みたいと言い出しました。ホテルのテラスはすでに出来上がったモデラーで一杯のようで、賑やかな声が聞こえてきます。我々も早速その輪に加わることにしました。

    次回はちょっとモデラーらしい話題を書きます。つまり「いったいユーロミリテールとは何ものか?」みたいな?

    PART11へ続く


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